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相続・不動産鑑定(士業の先生向け)


兵庫県下約300の税理士、公認会計士、弁護士、司法書士事務所のパートナーとして、不動産相続を支援しています。

Dジャーナル記事
神戸Dジャーナル連載記事(2015.7.23)

遺産分割

先日個人の方から問い合わせの電話が入りました。
「相続が発生して、兄弟間で遺産を分割します。兄が親と同居していましたので、兄が住宅を取得します。住宅を取得するに際しては他の兄弟に代金を支払いたいと言っています。代金は固定資産税の評価額で決めたいと言っていますが、それで良いのでしょうか?」

このように遺産分割を行う場合、税金の話を考えなければ、不動産の金額としては、相続人が納得すればいくらでも良いと言えます。例えば、固定資産税評価額でも良いでしょうし、信頼できる不動産業者さんの無料査定を基に金額を決めてもよいと思います。相続人が納得するのなら評価に全く関係無く支払い金額を決めてもよいと思います。

ところで、不動産の一番簡単な分割方法は、売却して代金を分割することですが、相続人のうち誰かがその不動産を取得するという方法を選択する場合には、他の相続人に対して対価を支払う必要も出てきて、その時不動産の評価額がいくらかといった問題が発生します。

不動産の評価額について固定資産税評価額を基に決めていく場合の留意点は次の通りです。
土地の評価額は適正価格の7割位に定められています。建物の評価額は、そのままで適正価格・適正価格の7割位等見解が分かれているようですが、前者が通説のようです。マンションの固定資産税評価額には、以上の割合が妥当せず、土地建物ともに、適正価格より大幅に安く評価されており、適正価格に対する割合はない様です。

以上の通りですので、固定資産税評価額そのままで評価する場合は、適正価格より殆どの場合、割安になります。不動産を取得する相続人に弁護士さん等が代理人として着いており、「公的な評価額で明確」とか「不動産鑑定士に評価を依頼すると高額」等の理由で固定資産税評価額での分割を勧められたら、上記の点に注意が必要です。適正価格より何割も割安になることを承知して判断してください。

対象不動産が収益物件ですと、固定資産税評価額を基準にして求めた価格より、収益力から求めた収益価格が売買価格として重要になります。収益価格はその不動産の年間賃料÷還元利回りで求めることができます。例えば、年額賃料が1,000万円収受できる物件の場合、1,000万円÷還元利回り10%=1億円で、この収益物件の収益価格は1億円となります。還元利回り等の把握は日常から収益物件市場の動向を見ていないとなかなかわからないので、収益価格は専門家に出して貰った方が良いでしょう。

「戸建住宅、マンション、収益物件等の「適正価格」をキッチリと知りたいなあ」という場合には、専門家である不動産鑑定士の出番です!

不動産鑑定士に相談する場合の注意点としましては、相談者の中に最初から簡易鑑定を求める方がおられますが、簡易鑑定は現在「意見価格評価」「価格調査」等「鑑定」という名称を用いない評価で行われることとなっています。これら「簡易な評価」は遺産分割の当事者全員が、簡易な評価について了解している場合等法令で定められた一定の場合には行うことができます。それ以外では不動産鑑定(いわゆる本鑑定)が法令上、原則となっていますので、単に不動産鑑定士への報酬の多寡だけで、簡易評価を選択することはできません。弁護士さんや税理士さん等の専門家でもこの点をご存じない方がおられるのでご注意ください。

「不動産の適正価格についての「不動産鑑定」や「意見評価」の違いは何ですか?」というご質問も多いです。

一言で言いますと、「不動産鑑定」では「適正価格(時価)」を求めることができますが、「意見評価」は評価手順が簡便なため「適正価格(時価)を目指した価格」を求めるレベルになります。「不動産鑑定額」は法令により時価と認定されているため「不動産鑑定評価基準」に定められた手順に全面的に則って鑑定作業を行わなければなりません。法令上、形式の上から、「不動産鑑定書」が「不動産価格意見書」よりレベルが上ですので、例えば相続人の誰かがある物件に対して先に「意見書」を提出しても、後日、他の相続人から同じ物件に対して「鑑定書」が提出されると、「不動産鑑定書」が優先することになります。ですから、後日紛争が予測される場合には、最初から信頼できる「不動産鑑定書」を求めておくことが得策といえます。

さて、話を遺産分割に戻します。「不動産について、相続人のうち誰かが取得する場合で、他の相続人に対して、適正価格での代金支払いを希望する場合」の相談者から、次に受けるご質問があります。「不動産の適正価格の専門家である不動産鑑定士に鑑定を依頼したら、鑑定額で分割できるのですよね?」というものです。

このご質問に対しては、「残念ですが、不動産鑑定額は専門家である不動産鑑定士の意見であり、それなりの権威をもちますが、お墨付きにはなりません。」とお答えしています。実は、鑑定書はお墨付きにならないどころか、鑑定書を出す状況やタイミングを間違うと、いきなり鑑定書を突き付けられたと思い憤慨する相続人が出てきたりで、まとまる話もかえってこじれたりという事態も発生しかねないのです。鑑定を行う前に必ず相続人間の了解をとる等、あくまでも話し合い中心で進めるようにしてください。遺産分割における不動産鑑定もやり方を間違うと事態悪化の方向に進みかねませんので、必ず遺産分割に詳しい不動産鑑定士を選び、状況に応じた対応を行うことが必要です。

遺産分割も最後はドライな金銭の話になるのですが、何しろ身内同士ですので、できる限り仲よく円満に話し合いが進む様に配慮し、話し合いができなかったとか決裂した等で家庭裁判所の調停や審判行きは極力避けたいものです。

 

相続評価引下げ

不動産相続評価額は個別不動産の「時価」で行なうこととなっていますが、財産評価基本通達に基づく路線価評価額が時価とみなされることとなっております。そして税務申告実務では税理士さんによる路線価評価額での相続税申告が中心となっております。路線価は現在適正価格ベースの80%程度ですので、殆どの場合は路線価評価を行うと相続人にとって不利とはなりません。
ところが、実際には対象不動産の客観的時価が「路線価評価額」より安くなるケースが散見されます。
 当社には税理士・会計士さんから不動産相続評価のご相談が多く寄せられます。「前面道路幅員が狭く建築物について再建築が不可の物件」、「テナントの空きが多く収益性が大変悪化している物件」、「実際に市場に長期間出してみたが公示地価の何分の1かの価格でも売れなかった物件」、「産業廃棄物が埋設されておりその撤去費用だけでも軽く売却費用を超えてしまう物件」等々、「現実は小説より奇なり」で市販の不動産相続評価本にも出ていない様なケースも多数あり、どのように評価を行ったら合理性を持ちうるのか知恵と能力を絞り出して解決策を出しています。

鑑定を使った方が路線価評価より安くなる場合の例

1.間口が2m未満の土地
2.間口が2m以上あっても奥行きが異常に長い土地
3.道路面から5m以上、高低差のある土地
4.全体が傾斜地の土地(造成費大)
5.前面道路が建築基準法の道路に該当しないとき
6.無道路地
7.極端な不整形地
8.面積が大きい土地(500m²以上)→ 広大地適用可否判断
9.市街化調整区域内の山林・雑種地
10.築年数が古く空室の多い賃貸マンション
11.境界がはっきりせず道路との関係が不明確な底地(借地人がいる土地)
12.別荘地・リゾートマンション
13.広大地には該当しないが路線価評価より低く売れる場合
14.私道(位置指定道路)
15. 土壌汚染・埋蔵文化財・地下埋設物のある土地


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限定承認

家庭裁判所から、限定承認に係わる不動産の鑑定人に選任されることがあります。
以前はあまり利用されることのなかった限定承認ですが、最近徐々に利用されるようになってきたようです。特にここ3年位ふえてきた様に感じます。

・限定承認の不動産評価は、相続時の時価です。
・相続財産の範囲で債務の支払いを行うようにしないといけません決して自己財産で弁済しないように。
・限定承認はいわば「ミニ清算」です。

「厳格な清算」といえる破産手続は、全体的強制執行なので、一部の債権者が公正証書で強制執行を行うことはできません。破産管財人から不動産を購入できるとは限りません。
これに対して「ミニ清算」といえる限定承認は官報公告から3ヶ月の財産調査期間のみ支払拒絶が可能で、それ以外は支払拒絶不可です。従って一部の債権者による個別執行が可能となります。

・限定承認した相続人は不動産について「先買権」を行使できます。←ここで裁判所が選任した不動産鑑定士による鑑定を行うことになります。

・不動産鑑定士は申立人、代理人等と依頼契約を行うことになりますが、限定承認申立人が先買権行使を希望する場合、債権者等に不測の損害を与えることのないよう公正に評価を行わなければなりません。

・農地の場合、先買権だと所有権移転の許可不要ですが、破産手続だと許可不要とはなりませんので、買受けできないケースも出てきますから注意が必要です。

・放棄や限定承認の熟慮期間は3ヶ月と法定されていますが、遅れたことに合理的な理由があるようであれば、多少遅れても裁判所は認めてくれる場合もあるようです。

・限定承認手続きに裁判所は関与しませんので、国は全体財産がプラスかマイナスか最終的にはわかりません。






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