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病院(クリニック・総合病院・医療モール)の不動産鑑定


病院(クリニック・総合病院・医療モール)の不動産鑑定

医療法人関係者と医療法人の間の取引について

病院の鑑定は以下の様な法令上の規制に基づいて鑑定依頼があります。


1 利益相反取引の理事会承認等について

医療法人理事は、医療法人と競業する取引や、自己又は第三者のためにする医療法人との取引(自己の所有物を医療法人と売買・賃貸借する等)など利益相反する取引を行う場合には、理事会の承認を受ける必要があるとともに、これらにより医療法人に損害が発生した場合は損害を賠償する責任が発生します。(詳細は、平成28年3月25日付医政発0325第3号厚生労働省医政局長通知「医療法人の機関について」を参照)
定款変更等の際に上記の取引を行う場合は、必要な理事会の承認を得るとともに申請書に議事録の添付が必要です。

2 医療法人関係者との取引額について

医療法人が、理事本人や理事の3親等以内の親族から不動産の賃借・購入等の取引を行う場合は、利益余剰金の配当とならないよう(医療法第54条)、取引額は以下の基準額以下とする必要があります。
又、申請書に評価額を証明する書類の添付が必要です。
  1. (1)基準額
    <不動産の賃借>
    ・土地の場合 年額:評価額の6% 又は賃料に係る不動産鑑定評価額 以下
    ・建物の場合 年額:固定資産税課税標準額の10% 又は賃料に係る不動産鑑定評価額 以下

    <不動産の購入>
    ・評価額以下

  2. (2)評価額
    <土地の評価額>(下記のいずれかです)
    ・不動産鑑定士による不動産鑑定評価書(様式任意)による金額<購入の場合>
    ・不動産鑑定士による賃料に係る不動産鑑定評価書(様式任意)による金額<賃借の場合>
    ・税理士等による路線価方式又は倍率方式による金額(別紙様式あり)
    ・市町発行の固定資産税評価証明書による評価額

    <建物の評価額>(下記のいずれかです)
    ・不動産鑑定士による不動産鑑定評価書(様式任意)による金額
    ・市町発行の固定資産税評価証明書による評価額



クリニックの不動産鑑定

先日、税理士さんから、「顧問先の医院が閉院を考えているのですが、今の適正な価格を鑑定してくれますか?」
との問い合わせがありました。
これはたぶん難しい案件だろうと思いながら、早速そのお医者さんに連絡して現場調査に伺いました。

住宅街にある医院です。
一見して「うーん、これは店舗としては、かなり業態が限られるなあ」と思いました。建物の開放性が低かったのです。

A先生が中を案内してくれました。温厚で実直な感じの先生です。
お子様がいらっしゃるようですが医師を志す子がいないとのことです。世の中お医者さんになりたい人が増えているのに実にもったいない話です。
やむを得ず将来的に不動産の売却を考えているが、対象不動産はいったい幾ら位の価値があるのか見て欲しいとのことです。

このような場合、お医者さんが、対象不動産を医院として買い取る場合と、お医者さん以外の方が店舗等他の用途に使う目的で買取る場合が考えられます。
医院として買取る場合には病院として知名度がすでに出来ているため後者の価格より大分高くなることが多いです。

「どなたか知り合いのお医者さんが買いたいというお話でもありますか?」
「いやそれはないです。」
「それではどのような利用を考えた人が買いに来るかわからないので、値付けは難しいですよ。」
「そうですね。」

ご本人達もお解りのようです。
それでも対象不動産の適正な価値を教えてくださいとのことです。
なかなか難しい案件です。

そこでまず、①「お医者さんが病院利用目的で対象不動産を買い取ると想定した場合の適正価格」を考えました。
この場合一番大事なのは、対象不動産で医業を行った場合の収益より求める収益価格です。

売上高、利益等についてお話を伺い、売上げに占める医療界の賃料負担可能率を乗じて適正賃料を求めました。
この適正賃料を還元利回りで還元して収益価格を求めました。
この際問題となったのは、A先生の売上げが標準的な医師のそれより遙かに多いということがわかったことです。
A先生は若くして勤務医を辞め当地で開業し、今日まで家族のため馬車馬のように働き続けました。
適正価格を出すためには標準的な売上げ等に修正を行って、収益価格を求めなければなりませんので売上げ等を約半分に修正しました。

次に②「店舗等として買い取るとした場合の適正価格」を考えました。
こちらの価格については土地価格とと建物の減価償却価格とを合算して求める積算価格が大事になります。

今回は①医院としての価格と②店舗等としての価格に大きな開きが出ています。
この場合どうするか?

お医者さんが対象不動産を買いに来る可能性を50%、その他の人が対象不動産を買いに来る可能性を50%と予測しました。
①の価格と②の価格とをその発生確率によって加重平均して、対象不動産の適正価値と判断することにしました。

若干の不安を抱えて説明致しましたところ、税理士さん、A先生も一応納得してくださってほっとしました。 せっかくA先生が築き上げてきた事業、上手く事業承継できたら良いなあと心から思いました。



医療モール クリニック全室の賃料鑑定

ある法人から私の携帯に久しぶりに電話がありました。
この法人は医療モールで調剤薬局も営んでおり、その医療モールに入室する全テナントのクリニックと取引を行っています。
この度、医療モールの家主さんがテナントのクリニック全部に対して賃料の増額改定を申し出ており、先の法人の不動産開発部がクリニック全部の賃料交渉について取り纏め交渉を行っているとのことでした。医師達との会議の中で、今後の為にも専門家に一度賃料を見てもらおうということで、弊社にお呼びがかかったようです。

ところで、賃料の鑑定といいましても、新しく契約を交わす際の賃料(新規賃料)を求める場合と、継続中の賃貸借における改定賃料(継続賃料)を求める場合があります。今回は後者です。
継続賃料の鑑定の場合、4つの物差しで4種類の賃料を求めます。そして最後にそれらを関連づけて合理的な継続賃料を求めます。4種類の賃料とは次のような賃料です。

●元本と果実との関係に着目して、賃貸している土地・建物の価格を求め、これに適切な利回りを乗じて賃料を求めます。利回りは前回の合意賃料の土地・建物に対する合意利回りを用いたりします。今回の合意賃料の利回りは住宅やオフィス等の収益物件の標準利回りより高めでした。運営がうまくいっている医療モールの収益力は他の不動産より高いようです。

●現在の賃貸条件と同条件で新たに賃貸契約を結ぶことを想定した場合の新規適正賃料と現行賃料との差額について、家主に帰属する部分を判定の上、現行賃料に対して当該家主帰属部分を増減させて賃料を求めます。貸主・借主双方の公平に配慮して、差額の半分を家主に帰属させるのが一般的です。

●現行賃料を定めた時点から現在までの経済変動率を現行賃料に乗じて賃料を求めます。経済変動率は名目GDP、 消費者物価指数(家賃指数)、企業向けサービス価格指数(不動産賃貸)等、賃料に関連性を有すると思われる指数によって求めます。

●対象物件と類似する継続中の不動産賃貸に係る賃貸事例と比較を行って対象不動産の賃料を求めます。これは分かり易いやり方ですが、継続中の賃貸借の条件は当事者の個別的事情に左右され、対象不動産に類似する賃貸事例が無いものです。

以上4賃料を求め、それらを関連づけて継続賃料を求めましたが、全てのクリニックで現行賃料より低めに出ました。つまり、家主さんはテナントクリニックに対して賃料増額を申し出て来ているのに、鑑定では逆に、継続賃料が現行賃料より安く出てしまったのです。しかも全てのテナントで。「紛争になるかも・・・」と心配しつつ、法人の役員に早速電話しました。

私:「全部のクリニックの継続賃料が現行賃料より安く出てしまいました。どうしましょう?」
役員:「そうですか・・・。わかりました。そのまま出して下さい。」
私:「争うおつもりですか?」
役員:「実は弁護士さんとも相談を進めていて、それも視野に入れて考えているのです。」

もし賃料訴訟ということになれば、鑑定を行った不動産鑑定士も渦中に巻き込まれます。争いごとは出来ることなら避けて通りたい思いですが、今回の鑑定額は充分に精査を重ね、公正に出したものです。結論を変えるわけにはいきません。
後は円満解決の方向に進むことを神に祈るばかりです。



病院の不動産鑑定

ある医療法人から病院購入のための鑑定依頼がありました。対象不動産は都心にある大型病院でしたので、話を伺ったところ評価額は相当の額になると思いました。

病院は評価の難度が高いといわれています。
対象不動産については、現実の建築費用を基に積算価格を求めました。収益価格については対象物件で病院事業を運営するとした場合の収支計画を依頼者から頂き、そこから不動産に帰属する収益を割り出して、その収益を還元して収益価格を求めました。
これらの価格から求めた鑑定額は50億円近くになりました。

ところで、対象不動産を鑑定するにあたって病院市況について調査しましたが、驚いたことがあります。
まず、全国の病院における収支金額が100床あたり平均で平成23年△5,509千円、平成27年△18,754千円と赤字で、たった5年間で赤字額が3.4倍にも膨らんでいます。国民医療費の対国民所得比率は、平成元年6.15%、平成24年11.17%とこの20年間で約2倍になっています。

国の医療費抑制や病床規制といった制約があり、病院の収入は大幅な増加が見込めない状況にあります。
他方で、人件費や薬品費等の材料費が増加し続けており、病院の経営環境は厳しさを増しています。病院の倒産理由はかつて放漫経営、設備過剰、売上げ不振の順でしたが、近年は売上げ不振、放漫経営、設備過剰の順に変化しています。

病院の鑑定の場合には、助産師の資格をもつ専務を現地調査に同行させます。
医療畑にいた経験から貴重な意見をきけたり、依頼者に対しても踏み込んだ視点からの質問がある等助けられています。





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