不動産市場, 不動産鑑定

平成24年基準地価概況

2012年09月20日

(全国の概況)
平成23年7月以降、一年間の地価について、住宅地商業地とも依然として全国的に下落が続いているが、下落幅は縮小し、上昇や横這いの地点も増加した。全用途でみた上昇地点は前年の7倍となった。数値でみると、全国平均で住宅地△2.5%(昨年△3.2%)と21年連続下落、商業地△3.1%(△4.0%)で6年連続の下落であった。住宅地の上昇率上位10地点は全て被災地の津波被害を受けにくい高台地域等が占めた。他方で地震や津波被害が予測される地域について下落幅が全国的に拡大する動きも見られた。東京、大阪、名古屋の三大都市圏の住宅地で下落幅が1.0%に縮小したが、名古屋圏の回復が目立ち、名古屋市はほぼ横這いまで回復した。製造業の業績回復による住宅取得が増加した模様である。商業地の最高地点価格についても名古屋市が大阪市北区梅田を上回った。今回地方圏にも上昇や横這い地点が拡がった。

(兵庫県の概況)
兵庫県内では住宅地が平均△1.7%(昨年△2.0%)と4年連続の下落、商業地は△2.7%(△3.4%)と5年連続の下落であるが、下落幅はいずれも縮小した。商業地については芦屋市がプラスに転じた。4年ぶりに上昇地点があり、芦屋、西宮市内の4地点でプラスとなった。住宅地については神戸・阪神間を中心に69地点で上昇し、愛知県、宮城県に次いで全国3位となった。芦屋市の住宅地については2年連続の上昇で上昇率は大阪圏でトップであった。県内では西宮市、神戸市東灘、灘、中央区の住宅地が今回上昇に転じた。他方で、但馬地域、淡路地域の下落幅は依然として大きかった。
兵庫県内主要都市の地価変動率は次の通りである。

住宅地(昨年)(%) 商業地(昨年)(%)
神戸市△0.5(△1.0) △1.0(△2.5)
尼崎市△0.4(△1.4) △1.9(△3.1)
西宮市+0.5(△0.2) △0.5(△2.0)
芦屋市+4.7(△0.6) +0.6 (△2.2)
明石市△0.4(△1.1) △1.6(△1.8)
加古川市△0.8(△1.3) △2.0(△2.1)
姫路市△2.2(△2.1) △2.4(△2.5)

(今後の地価予測)

東日本大震災の発生で暫くこのコーナーをお休みしました。今回の基準地地価は前回の地価公示に続き「全体として下落幅縮小、上昇・横這い地点の増加」というのが基調のようです。前回の地価公示では全国的に西高東低の結果が出ましたが中でも兵庫県の地価上昇地点数が愛知県に続き全国で2番目に多かったのが特徴的でした。今、世界景気は、南欧の債務問題に加えて、中国始め新興諸国の本格的な景気減速、アメリカ景気の下振れリスク等、後退のおそれが拡がっています。このような中、我が国経済は電力問題、円高、長引くデフレ等の問題を抱えながらも、復興需要に支えられ、大企業を中心とする企業の業況判断は不透明感が残るものの、今後に対して概ね楽観的の様です。他方で直近の不動産市況を見ると、全国的にオフィスビルの賃料は下落しているも空室率は低下しています。マンション価格は横這い基調ですが、市況は概ね好調で推移しています。全国不動産業業況調査によると、商業地流通業の市況感は好調です。以上より半年後の地価は回復基調が続くものと予測します。

Share Button