不動産鑑定, 実務修習生

ソコチょっと詳しくなりました 事業用定期借地権付底地の鑑定評価

実務修習生として、「あいき」で修行を始めてはや1年、底地担当のハマナです。

というのは冗談ですが、当社は、地元の事業者さんからの依頼が多いので、大手鑑定会社ではなかなか出会わないような、「借地権」「底地」の案件がかなりの頻度であります。

借地権付建物や底地鑑定評価は、土地や建物だけでなく、土地賃貸借契約内容によって大きく価格が変わります。

さらに、地代は家賃と比較しても地域性・個別性が強く、賃料水準・期待利回り水準・借地権割合・底地割合等、評価するために、市場の相場や税務の財産評価上の指標など、調べることがたくさんあります。

ボスは、実務を学ぶには、もってこいの勉強材料!と言って底地をハマナ担当にしてくれるわけです。(おそらく)

今回のご依頼は店舗が建っている「事業用定期借地付底地」の評価でした。

現場に行ってみると、表通りからわき道に入ってすぐの、店舗として好条件の土地。
土地を買うのはリスクが高いけど、土地を借りて自分の思い通りのお店を建てて(賃貸だと限界があるし)、商売をする。
直感的に事業用借地権としての需要が大きい土地だなと感じて帰ってきました。

「事業用借地権付底地」の鑑定評価は、実務上、
A.取引事例比較法
→類似の底地価格から算定

B. 割合法(更地価格に底地割合を乗じて求める)
→完全所有権である更地価格から算定

C. 収益還元法(年間純収益に契約残年数に対応する複利年金現価率を乗じた額に、更地価格の現価を加えて求める。)
→得られる地代から価格を算定

という3つの手法を適用して求めます。

以下、割合法で使用する「底地割合」についてレポートします。

まず、底地割合の地域水準をみるために、取引事例の収集。
底地取引は、取引件数自体が少ないですから、事例の収集方法はとても限られます。
近隣で一件事例を見つけましたが、おそらく普通借地権であり、参考程度にとどめておきました。

次に、財産評価基本通達の確認。
ボスに、“財産評価基本通達”に税務上の指標があるというヒントだけもらって、ました。
しかし、基本通達には「事業用定期借地権」という言葉は出てきません。サポートセンターに電話して、サポートしてもらいました。
財産評価基本通達において、定期借地権が付いた底地割合については、一般定期借地権と一般定期借地権以外の定期借地権に分けて書いてあり、事業用借地権については定期借地権を見てくださいとのことでした。

以下は、財産評価基本通達(25-2)の定期借地権割合です。
イ 残存期間が5年以下のもの       5%
ロ 残存期間が5年を超え10年以下のもの 10%
ハ 残存期間が10年を超え15年以下のもの 15%
二 残存期間が15年を超えるもの     20%

この数値を基準として、今回の案件では、地代が地域の水準より低いという個別事情を考慮してその経済価値を判定して借地権割合を上げ、底地割合を下げました。

さて、ちょっと余談ですが、本案件と同じ事業用定期借地権付きの底地割合で、残存期間が15年で、普通定期借地権付きの場合と同じ底地割合(30~40%)と査定しているものを発見!!
これはかなり、契約に事情があるケースと考えられます。
なぜそれが分かるかというと、

普通借地権の場合、契約が更新されるのが通常ですから、何年たったら完全所有権になるという見込みはなく、
底地の価値は、「更地価格の○割」と実感を持って分かりくいです。
(地代が更地価格水準と完全対応していれば別ですが・・・)

事業用定期借地権の場は、契約期間が終われば、必ず借り主が建物を取壊して土地が地主さんに返ってきますから、

「契約終了まで○年待てば、完全所有権(更地)になる。
さてこの条件で、更地価格の○割なら取引してもいいと思えるか」

という指標を示す底地割合は実感として分かりやすい!というのが私の今回の気づきだったからです。

つまり、事業用定期借地権の方が、普通借地権より更地との牽連性が強いから、底地割合は取引当事者により重視されるものであろうし、
だからこそ評価者である鑑定士も、市場の実態や各種指標から地域の水準を把握し、賃料や契約期間等の契約の個別性を十分に反映して、更地価格との関係における底地の価値を示す「底地割合」を適切に査定する必要があると、強く感じました。

さて、仕上げた評価書をチェックしてもらう段になって、
「そういえばハマちゃんこんなん知ってた〜?」と
全国の借地権・底地の取引事例を過去数年分、収集・解析した貴重なデータを出してきたボス。

もっと早く教えてほしかったです・・・・。

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土田剛司(Takeshi Tsuchida)

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