マンション, 不動産鑑定, 相続・遺産分割

相続対策 タワーマンション購入 マンション価格の本質から説明します

 

 

以前好評だったコラムに加筆し分かり易く致しました。 マンションの価格が階層と位置によって異なるのはみなさんご存じだと思います。 一般的な場合ですと、1階が一番安く、階数が上になるほど高くなっていきます。 また位置的には、東向、南向、南東角の順で高くなっていきます。 ある階から眺望が開けてくる場合、その階から単価が急に上がることもあります。 それではなぜマンション各部屋の価格が、上のような階層と位置によって異なってくるのでしょうか? 住宅の価格は言うまでもなく土地の価格と建物の価格とを合計したものです。土地の所有権には、まず地上を利用・処分する権利、それに加えて地下や空間を利用・処分する権利も含まれるのです。このため土地の所有権の価格には土地上のみならずその土地の地下及び空間位置の価格の集積から成るのです。マンション各部屋の価格が階層と位置によって異なる理由は、各部屋の建物価格の仕様・間取り等が異なるのはもちろんのこと、各部屋の空間に占める位置つまり階と位置によって各部屋の土地持分価格が異なることによるものなのです。 私は以前、神戸市中央区のマンションに居住していました。購入に際しては大変悩みましたが、家族から資産価値があるからと励まされたりもしました。でも不動産鑑定士である私はその言葉を聞くと悲しくなっていました。マンション価格の本質を知っていたからです。 それは、マンション価格は殆どが建物価格であり、土地の価格が僅かしかないということです。 都市部の広めの土地上に、建物を出来るだけ積み重ねてマンションは造られています。このことから確かに、マンション敷地全体の価格は高額なのですが、たくさんの人間で持分としてその土地を共有するため、1人あたりの持分に換算すると僅かな価格になってしまうのです。 他方、建物は鉄骨鉄筋コンクリート等強固な構造となっており、共有部分や設備が年々豪華になっているため大変高額になります。日本の場合建物価格は経過年数によって減価していくので、一般的には年々価値が下がっていくことになります。 以上の様に、住宅で最後に残るのは土地の価値であることから、マンションの場合、資産価値としては不安な面があるのです。このことを知っていても、都心で戸建住宅は少ないし、利便性、安全性、日照、眺望、デザイン等が優れておりやはりマンションには魅力があります。 更に、ここ数年の住宅市場を見ていますと、戸建住宅は余りふるわず、マンション人気が続いています。それと、人気があるマンションの場合には建物が劣化していっても、転売価格が下がらない場合もあります。私の場合も8年前に購入した価格と同じ価格で持ちマンションを売却しました。 ところで、最近、「高層マンションの購入による相続対策」の話をよく耳にします。 理由としましては、一つが上記のように、タワーマンションには転売価格が下落しない物件があることです。もう一つは、相続時の評価額が安くなることです。後者の理由について説明します。 通常、マンションの時価は前述のように、1階が一番安く、階数が上になるほど高くなっていきます。また位置的には、東向、南向、南東角の順で高くなっていきます。ある階から眺望が開けてくる場合等ではその階から単価が急に上がることもあります。 ところが、相続時の評価額は、通達によって、「土地が時価の80%といわれる路線価を基に評価した額に単純に登記持分を乗じて求め、建物は固定資産税評価額で良い」ことになっています。建物の固定資産税評価額は一棟全体の評価額に対して専有面積で案分して求めます。 土地について、「路線価評価額で評価して更にそれに登記持分を単純に乗じる」ということは、土地の共有持分について殆どの場合建物専有面積割合で配分しているので、マンション時価として重要な階数や位置、眺望、日照等による価値増加を考慮していないということになります。 ということは、階数、位置、眺望が良好で、建物使用が豪華な部屋ほど相続税評価は時価に比較し割安になる、ということです。そうしますと、「タワーマンションの上層階にある、日照眺望良好な仕様が優れる部屋」の場合に典型的に時価より相続税評価額が安くなるということになるのです。 よく考えてみれば、これはタワーマンションに限ったことではなく、「1棟のマンションの中で特別に日照眺望、間取り、内部仕様が優れ、時価が高い部屋」が存在する場合には全てあてはまる話ということになります。 私の住む神戸市中央区でも、タワー志向が引き続いており、魅力的なマンションも続々登場しています。 タワーマンションは数年でマンション全体の優劣が決まるようなので、今購入しようとしているマンションが競合するタワーマンションの中でどういった位置づけになるかを予測しながら、慎重に選ぶようにすることが大事だと思います。

あいきの相続業務

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