法廷での鑑定人尋問 「事故物件の鑑定」

先日、裁判所で鑑定人尋問を受けました。 尋問というと、なにやら訴追されたのではないかと思われるかもしれませんが、ちょっと違います。 裁判所からの不動産鑑定依頼です。 事件の内容は次の通りです。

「隣人間でかねてから折り合いが悪く、それが遂に傷害事件にまで発展しました。その後、加害者の家族は持ち家を手放し、引っ越しました。しばらくしてその家は売れましたが、仲介した不動産業者は傷害事件の内容と加害者家族が住んでいたという事実を買主に伝えていませんでした。買主が後でそのことを知り、もし上記の内容を購入段階で聞かされていたら当該不動産を購入しなかった、ということで損害賠償請求を行いました。」  

さて、このような物件を業界用語ではいわゆる「事故物件」といいます。よくあるのは、自殺、他殺があった物件です。不動産内でこれらの事件が発生した場合、不動産の価格は下がります。 「それではどのくらい下がるのでしょうか?」  

この点については、判例も多くあります。私が調べたところ、大概、建物内で事件があった場合20%程度の価格ダウン。建物を取り壊して土地だけにしても10%程度の価格ダウン、との心証を得ました。

  今回の事件は、建物内での自殺、他殺とは事情が異なります。 「加害者・被害者宅の前面道路上で傷害事件は発生しました。この場合、加害者宅の価格は下がるのかどうか、下がるとしたらどれ位下がるのか?」というのが私への鑑定依頼の内容です。

判例はありませんでした。事故物件を取り扱った知り合いの不動産業者さん大勢にもヒアリングしました。

  大変悩んだ末に私が出した結論は「13%程度の価格減が発生する」でした。3%は一般人が知るところとなった重大傷害事件が発生した地域内にある不動産という外部環境要因、10%は隣人に重傷を負わせた加害者の家族が居住していた住宅であったことによる個別的要因、と判断しました。因みに事件はマスコミでも報道され、売却時期は事件後1年程度でした。  

私の判断に対して原告、被告、弁護士達から「鑑定理論による根拠があるのか?」「先生の気分によって決めた数値ではないのか?」「建物内での自殺、他殺と混同しているのではないか?」等々厳しい意見・質問が浴びせかけられました。  

しかし、結局「和解」という結果で無事収まりました。 裁判所から顛末をきき気分スッキリ。

  プライバシーに配慮し、一部フィクションを交えています。ご了承下さい。

あいきの裁判鑑定

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