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相続税より譲渡税の方が大変?! 土地の概算取得費計算をお助けします!

先年相続税法がこの1月から変わりました。 あまり目立たない改正の中に非常に大きな意味をもつ改正があります。 租税特別措置法39条(取得費加算)の改正です。

今まで相続財産である土地を譲渡した場合において、相続開始後3年10か月以内に譲渡した場合には、「譲渡した者が相続したすべての土地に対応する相続税額を取得費とみなすことができる特例(租税特別措置法39条)」が存在していましたが、今回以下のように改正されています。 (税制改正大綱より抜粋) (1)相続財産に係る譲渡所得の課税の特例について、次の措置を講ずる。 ① 相続財産である土地等を譲渡した場合の特例について、当該土地等を譲渡した場合に譲渡所得の金額の計算上、取得費に加算する金額を、「その者が相続した全ての土地等に対応する相続税相当額」から、「その譲渡した土地等に対応する相続税相当額」とする。

つまり、ある人がA・Bの2つの土地を相続したとします。この時各土地の相続税額はA土地3千万円、B土地2千万円とします。相続開始後3年10か月以内に相続税の支払い目的でB土地を譲渡したとします。この場合、従前なら5千万円が取得費加算額でした。このため譲渡税が0円の場合もありました。これが今回の改正では、B土地の相続税額2千万円のみが取得費加算額となります。 この特例は従前、多くの土地を保有しているが、納税するための現金があまりないといった相続の場合、非常に有効なものでした。 しかし、改正により今後は、相続税額より、何と譲渡税額の方が上回るという事態も出てきます。

以下、私の以前のブログ記事を援用させていただきます。

先日、ある税理士さんから評価のお話をいただきました。 クライアントの方が今回共同住宅を売買し、その譲渡税の申告に際して、取得額が不明のため適正額を評価してくれないかとのことでした。 都心の物件ですので譲渡税額も相当の額になってしまうようです。 確定申告に間に合うように大至急とのことでした。 私は「正直今きついのですが」と応えたかったのですが、いつも愛妻に言われている通り 「はいわかりました。がんばります!」とお受けしてしまいました。

譲渡税は簡単にいうと取得した額と譲渡額との差額に益金が発生している場合に、その益金に対して課税されます。現実の取得額が領収書等で証明できる場合は良いのですが、できない場合は譲渡額の95%に対して課税されるようです。取得費が不明の場合に、適正な時価で取得したと主張したい場合、合理的推計方法を使う場合もあるようです。通常この適正額の計算は別に不動産鑑定士が行うことまでは要求されていないので、合理性を保つことができるのであれば誰が行っても支障がありません。それにもかかわらず不動産鑑定士に依頼があるのはそれなりの理由があリました。

今回取得された時期が昭和40年というかなり古い時期だったのです。「昭和40年の地価を求めることができるか?」という依頼だったわけです。 私は鑑定の依頼があると、まずはいかなる案件でもお引き受けすることにしています。「絶対に評価できない案件は無い」を信念としています。 特に他の鑑定士が評価困難で断った案件となると、私の闘志は燃え上がり、二つ返事でお受けしてしまいます。このため後で大変苦しい思いをするのですが・・・。昭和40年といえば私の生まれた年、当時の経済状況については知る由もありません。裁判の鑑定で古い年の地価を出した経験が何度かあったので 「はい、多分、適正額を出せると思います!」と、ここでも言ってしまいました。

いざ評価に着手するとこれが大変でした。 過去の地価を出す最もメジャーな方法は公示価格をたどる方法です。 公示価格は法令上、適正な価格(時価)とうたわれており、公共機関に対しては有効です。 地価公示制度は古くから続いていますが、それでも昭和45年以前の公示価格は無いのです。 「なになに、公示価格が無くても、未だ相続税路線価があるさ」 と専門家としての余裕があったのも束の間でした。 古い相続税路線価図は国税局で閲覧ができず、公立図書館で閲覧可能です。 早速地元の公立図書館に照会しました。

「その地域の路線価図については、当館には昭和45年以降のものならあります。他には県立図書館に昭和42年のものがあります。それ以前のものとなると・・・ 昭和36年のものが国立国会図書館にあります。」 この地域の昭和40年の路線価図は、日本中どこにもないということです。 こうなると評価は大変難しくなります。しかしいまさら後には引けません。

今回の相手は税務署なので戦略としては、国税審判例の時価算定の方法を利用することにしました。 まず対象地に類似する公示地の最古年に当たる昭和48年時点の公示価格から、対象地との路線価比率で対象地の昭和48年時点の価格を求めました。 次に図書館を回って集めた対象地の路線価を使って、昭和48年から昭和40年の地価変動率を出しました。 先の対象地の昭和48年時点の対象地価格にこの地価変動率を乗じて昭和40年における対象地の価格を求めました。 肝心の昭和40年の相続税路線価額が不明なので、過去の推移を基にした私の予測額になってしまいました。

私としてはスッキリとせずやや不満足な結果となってしまいました。税理士さんにはこの点の説明をして、評価額の報告をいたしました。 「先生、大変頑張ってくれましてありがとうございます。」と言ってくれました。 ひとまずホッ。   今回の改正によって、相続税支払いのための土地売却にあたって取得費が不明の場合、譲渡税を下げるための概算取得費の立証に、上記のような評価が役立つことになると思います。

あいきの相続業務

 

 

あいきの不動産鑑定 ご利用者様の声


会社役員 匿名希望様

会社の節税対策を講じたのですが、その一環として実務価格と簿価との乖離が大きい不動産を関連会社に売却し、売却損をだしました。その際に土田先生に不動産鑑定評価をお願いしました。この売買価格が適正価格か否かで税務署から否認されるのを避けたかったからです。
私の無茶な意向を聞いていただきながらも最終的には、何処に出しても間違いない価格に落ち着き、お墨付きを頂いた様な安心感を得ました!
仕事もプライベートもアグレッシブな土田先生!これからも頼りにしてますよ!!
~ 当社より ~
いつもお世話になっております。
ありがとうございます。不動産の世界は幅も奥も拡く、匿名希望者様には色々とご教示いただき感謝しています。今後ともよろしくお願い致します。
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