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道路条件不良 山手の住宅地 鑑定

先月1日、2015年1月1日の相続税路線価が発表されました。

兵庫県内の最高価格は「三宮センター街」で、
2年連続の上昇、前年比は+8万円でした。

また、県内の最高上昇率は「芦屋市船戸町」で、
+5.2%でした。

不動産鑑定の実務を始めて、
「相続税路線価」の使えるところ、使えないところを実感している
実務修習生のハマナです。

今回担当させていただいた物件は、阪神間の山手の住宅地。
「路線価」について、色々と勉強になったので、
それを書きたいと思います。

1.表通りと裏通りについて

この山手地域一帯の路線価を見てみると気づくことがあります。

山の上に行けば行くほど、路線価は下がるのですが、
同じ調子で、下がるわけではありません。

街区を分ける表通り沿いは、
道路の道幅が広く、日照通風や車輌の通行性が良いため、
街区内の裏通り沿いと比較して、路線価は高くなります。

そうすると、山の麓の利便性が良い地域と、
山の上の急な坂を上がる大変な地域と、
路線価が逆転することがあります。

このように表通りが裏通りかによって、水準が変わってきますので、
面的に地域を捉えるのとは別に、
道路沿いで地域を捉え、価格を補正する視点が重要です。

2.方位について

路線価は1本の道路沿いに、価格水準が付いているものなので、
東西方向の道路に対して、北側の宅地も南側の宅地も、
基準となる価格は同じとなります。

しかし、山手の住宅地の場合、
この通り沿いを同じ水準と見ることに注意が必要です。

画地規模が小さい(80~150㎡程度)場合は、道路面が主な採光面となりますから、
一般的に道路が南向きは北向きかによって、価格は3%~10%程度変わってきます。

一方、阪神間のように南向き傾斜の山手住宅地は、
傾斜角度によっては、道路が北向きでも、
南側の地盤面が低いことにより、南側から採光が取れるかもしれません。

また、道路が南向きだと、傾斜地でない場合の南向きより、
さらに日照通風や眺望の条件が良くなり、増価率が高くなる可能性があります。

一方で、南向き傾斜の場合、
南向き宅地は地下車庫でアプローチが階段のことが多いので、
高低差のない北向き宅地と、水準は変わらないかもしれません。

このように、同じ道路沿いと言っても、
方位、傾斜によって増減価要因を細かく判定する必要があります。

3.接面道路について

高低差のある山手地域においては、地図上で接面していも、
実際には高低差がかなりあり、アクセスできない場合が多々あります。

今回担当した案件においても、表通りに接道しているように見えて、
表通り側は、建築基準法上の接道要件2m未満の間口であり、
人が通るのもやっとの状態でした。
一方裏側は、高低差はあるものの間口は広いので、
裏通りを接面道路とし、その裏通り沿いの住宅地として地域水準を見る
のが妥当だと判断しました。

4.まとめ

路線価は地域の土地価格水準を比較する上で優れた指標ですが、
いずれの場合でも、
実際に現場を見たり、複数の取引事例や募集事例を分析することにより、
地域格差が出る要因と、その格差の程度を検証することが大事だと感じました。

 

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