不動産鑑定, 実務修習生

不動産は「生き物」だー

2014年04月25日

こんにちは、実務修習生のハマナです。

先日、大阪で西日本の実務修習生が集められて、演習を受けてきました。

みなさん、実務修習生、つまり鑑定士の卵ってどんな人たちがいるかご存じですか。

私と同じ班のメンバーは
・地元の老舗不動産業者さん3代目(30代)
・個人鑑定事務所の2代目かつ不動産業者の経営者(30代)
・この3月まで公立高校の校長先生(60代)!!!!

不動産鑑定業・不動産業を中心としながらも、
多種多様な経歴の持ち主がおり、年齢もバラバラなのが特徴です。
前回の東京での全体研修では、元トランペット奏者なんて方も!!
女性の割合は4、5人に1人といったところです。

さて、今回の演習の主な目的は更地の価格を
「ここにマンション建てて分譲したらどれくらい儲かるの?」という
ディベロッパー目線で査定して、
対象不動産の適正な価格を導くという手法(開発法)を習得することです。

全ての方に共通の目線だと、
「似たような不動産やったらどれくらい?」
賃貸業者や投資家さん目線やったら
「ここで賃貸の建物たてたらどれくらい儲かんの?」と
その不動産の経済価値を色々な角度から分析して、
最終的に一番買いそうな方の目線を重視して、
価格を決定します。


演習の課題の現場及びその周辺の調査で、
大阪市北区のオフィス街を見てきたのですが、



確実に不動産取引・建設が活発にになっているのを感じました。

今まで駐車場、つまり更地としておいて置かれた多数の土地がこの1,2年に売買されて、
現在店舗マンションが建設中だったのです。

それと影響し合う形で近辺の公示地価は大幅に上昇、
平成24年に上昇に転じたときは年率+2%、
平成25年は年率+7%なのですが、後半だけでみると年率10%くらいです。



このような時勢の中、今回の演習で学んだポイントを3つご紹介したいと思います。

一つ目は、商業地域・住宅地域といった地域の判定について。

以前にも増して最近、「郊外に住んで都心に通勤する」というスタイルに固定化されなくなり、
特に単身世帯や子供のいない夫婦世帯の都心居住の需要を受けて、
ビジネス街にマンションが見られます。

今回の対象地も堺筋に面しており、明らかに商業地域なのですが、
やや繁華性に欠け、落ち着いた地域で
これまた明らかにマンション用地です。

これって商業地?住宅地?

結論から言うと、
商業地域内の住宅‘用’地であって、
鑑定的には商業地域内の土地は商業地です。

これに関しては、そもそも商業地・住宅地という分類が
今の時代に合わなくなって来てるのかも・・・という問題提起もありましたが、

生活スタイルが多様化する中で、
対象不動産の地域性の分析は、

固定概念に縛られることなく、
現状に即した分析が必要

ということを再認識しました。





二つ目は、想定するディベロッパーの開発計画について。

ディベロッパーはその土地を買うにあったって、先に利益(率)を決め、逆算して土地の値段を考えます。

その際、大まかに開発スケジュールを立て、販売建物を設計し、建設コストと分譲価格を想定しなければなりません。

この「想定」は当然ながら事業者によって、時期によって、場所によって、違います。

講師の先生は「強気」「弱気」という言い方をされていました。

先述したような時勢だと「強気」、
つまり分譲価格を高めに、リスク率を低めにと判定していきます。

それは常に市場の資料や、ディベロッパーさんから聞き取りによって裏付けられるべきとも言われました。



三つ目は、公示地価とのバランスについて。

一般の取引では、買いたい値段と売りたい値段が一致すればいくらでもいい訳ですが、
鑑定においては公示地価とのバランスが重視されます。

と習いました。
実際ボスもそうしています。

しかし、地価上昇期で都心の商業地域だと、
現実の市場ではかなり「強気」の取引がされている場合もあり、
2~3割増になることも珍しくないそうです。

公示地価とのバランス具合も一律に決められるものではなく、
状況によって判断することが重要だと学びました。



全てに共通するのは、
不動産の価格というのは、

その時の経済状態や社会情勢に大きく影響され、変化し続ける

「生物」

「いきもの」

「なまもの?!」

であるということに起因することです。



私のボスはいつも、

常に経済状態や社会情勢の最新の情報を収集し、感覚を身につけること

の重要性を言っておりますがそれを改めて実感しました。



これからもがんばります。

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